ベトナムはキン族が約90%、その他に50以上の少数民族が暮らしています。こうした少数民族の人々は、ベトナム北部や中部域の山岳地帯に多く住んでおり、ホーチミンやハノイなど平野部にある大都市に住むベトナム人の多くはキン族の人々です。
今回はベトナムにおける職場や生活環境での言語事情をお伝えします。
ベトナムで話されている言語・英語事情
公用語・共通語はベトナム語
ベトナムの公用語はベトナム語です。生活環境・ビジネスシーンにおけるベトナム人同士の会話は基本ベトナム語になります。
表記には声調記号の入ったアルファベットが使用されます。ただ、日本人の“ローマ字”読みとは異なる部分が多く、またベトナム語は声調が6つもあり、そのことからベトナム語習得の難易度は高いといわれています。北部、中部、南部ではそれぞれに発音が違いありますが、テレビなどで主に使われているのは、ハノイを中心とした北部の言葉です。
ベトナム人の英語事情
ベトナムでは英語は第二言語に位置づけられていますが、日本と同様に世界、アジアにおいて英語力は高い水準とはいえません。国際教育事業のリーディングカンパニーであるイー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF)が、2021年に発表した「EF EPI 英語能力指数」によるとベトナム全体の英語力はアジアの中で24カ国中12位となっており、日本の13位とほぼ変わりません。
*アジアにおける1位・2位・3位は順にシンガポール、フィリピン、マレーシア。
一方で近年のベトナムは英語教育に力を入れており、ハノイやホーチミンなどの中流以上の家庭では小学校進学前から子どもを英語の塾に通わせていることが少なくありません。また、ベトナムでは小学3年生から英語が義務教育科目のため、裕福な家庭でなくても、小学生以上であれば、子どもについては多少の英語なら通じます。つまり、将来的にはベトナム人の英語力が大きく伸びることが予想されます。
ビジネスシーンにおけるベトナム人の英語事情
現在のベトナムのビジネスシーンにおいては、日本を含めた外資系企業の進出が著しく、それらの企業は英語能力を必須とするケースが多くなっています。そのため、好条件の企業の就職を目指して英語学習に力を入れる大学も少なくなく、英語圏の高校や大学への留学をしてビジネスレベルの英語が使えるベトナム人も増えています。
しかしながら、上述の「EF EPI 英語能力指数」でもある通り、ベトナム人全体の英語能力は世界・アジアに比べ高い水準ではないため、ベトナム人とビジネスをするにあたり、そこまで高い英語力を求められることは少ないです。
ただし、顧客との商談等、社外での英語の使用が必須の場合、ビジネスレベルの英語力を求められるケースもあります。
ベトナム転職・生活に必要な英語力と言語
職種別に求められる英語力
職場環境や職位により求められる英語力は異なります。こちらはあくまでも例となりますが、ベトナムで仕事をされる場合は、ぜひ参考にしてください。
営業職
● 顧客へのアポ取り、商品説明、要望ヒアリング、価格調整・交渉、見積作成依頼などが英語で問題なくできるレベル
● 日系顧客メインのポジションであれば社内コミュニケーションができるレベルでも問題がない企業も多い。
(目安:コミュニ―ケーション~ビジネスレベル)
秘書・事務職
● 英語での資料作成、資料の日英・英日翻訳、駐在員や出張者の通訳、会議での通訳などが英語で問題なくできるレベル
(目安:ビジネスレベル)
技術・専門職
● 技術については実際にやってみて説明ということが通じる場面も多いので、日常会話レベルでも可能なケースが多い。
● 専門用語・技術用語が英語で理解でき、ローカルスタッフへの指示・指導が英語で問題なくできるとよりよい。
(目安:コミュニ―ケーション~ビジネスレベル)
カスタマーサービス、テクニカルサポート
● 社内トレーニング、レポート、ローカルや多国籍の同僚とコミュニケーションが英語で問題なく取れるレベルの英語力
(目安:コミュニケーション~ビジネスレベル)
生活に必要な英語力
日常会話レベルの英語力があれば主要都市やその近郊で生活する場合、英語が通じる場所が多いので、生活はしやすくなります。
一方、ローカルのお店などはベトナム語しか通じないことも多いので、英語力があってもなくても変わらない、という場面もあります。
病院・病気に関しては最低限の説明が英語でできると良いですが、どうしても難しい場合は日本語通訳がいる病院を選ぶことも可能です。
ベトナム語は必要?
ベトナム語が話せると、ベトナム人とやり取りがスムーズになりコミュニケーションが深まりますが、話せなかったとしても生活やビジネスで支障をきたすことはありません。
ただし、英語が話せないとベトナムで生活する上で支障を来すため、まったく英語が話せない、という方は、タクシーや買い物に必要な単語レベルでベトナム語を覚える必要があるかもしれません。
ビジネスレベルのベトナム語は習得するのがかなり難しいので、英語に自信がない方、身につけたい方は、きれいな英語は必要ないですが、自分の意思を伝えるトレーニングをすることをお勧めします。
まとめ
上述の通り英語力がそこまで高くない、かつ現地の母国語であるベトナム語を覚えるのが難しいベトナムでは、職種によって最初は高い英語力を求められないこともあります。そのため海外で英語力を高めたい方、逆に英語力を武器に差別化を狙いたい方は、ぜひ転職先としてベトナムをご検討ください。
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