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ベトナムのIT業界について解説!~なぜベトナムはIT人材大国として注目されているのか~

ベトナムのIT業界について解説!~なぜベトナムはIT人材大国として注目されているのか~

海外転職をする上でとても大事なことは情報収集です。今回は、求人票だけでは知り得ないベトナム国内におけるIT業界の動向や転職市場、どんな人材が求められているのか等をまとめました。

【目次】

ベトナムのIT業界の規模・成長について

ベトナムがITハブとなる理由

ベトナムのIT人材について

ベトナムのIT業界のトレンド

ベトナム政府がIT産業を推進するために取り組んでいる政策について

ベトナムのIT業界が持つ可能性とは

まとめ

■ベトナムのIT業界の規模・成長について

ベトナムのIT業界は、近年著しい成長を遂げています。アプリケーション開発、ソフトウェア開発、情報セキュリティ、データサイエンスなどの分野で、世界有数の企業と取引を行っており、外国人材も多数参入しています。

また、国内のスタートアップ企業も増えており、ベトナムのIT産業は非常に活気があるといえます。

ベトナムは、アジアの中でも人口が多く2023年には人口が1億人を超えるとも言われております。労働力の豊富な国であり、政府はIT産業を重要な成長エンジンのひとつと位置づけ、積極的に推進しています。

ベトナムの情報通信技術(ICT)部門の収益は、2016年時点の約609億ドルから、2021年の約1,361憶ドルへと右肩上がりの成長を続けております。「e-Conomy SEA 2021*」によると、2021年のベトナムのインターネット経済は210億ドルで、GDPの5%以上を占め、2015年に比べて7倍以上の貢献度を示し、2025年には570億ドルに達する見込みで、東南アジアで2番目になると予想されています。(*Google、米国のBain & Company、シンガポールのTemasekが発行)

2021年の成長率はASEANで最も高く31%、2025年まで年平均29%で成長すると予測されています。ベトナム政府は、2025年までにデジタル経済がGDPの20%を占め、各産業・分野におけるデジタル経済の割合が10%に達することを目標としており、さらに2030年までにはデジタル経済がGDPの30%を占め、各産業・分野におけるデジタル経済の割合が20%に達することを目標に掲げています。

■ベトナムがITハブとなる理由

ベトナムは、近年急速にITハブとしての地位を確立しています。その理由には、以下のような要因があります。

若い人口の多さ
ベトナムの人口の約70%が30歳以下であり、若い人材の豊富さが魅力的です。若い人材は新しい技術に敏感であり、急速に変化するIT業界において大きなアドバンテージとなります。

ベトナム政府の支援
ベトナム政府は、IT産業の発展を重要な国家戦略と位置づけており、積極的に支援しています。例えば、IT産業の育成や人材育成のための政策が導入されています。また、IT関連企業に対しての税制優遇措置も存在します。

優れた人材
ベトナムの大学や専門学校は、IT教育に力を入れており、その質が高くなっています。英語が話せるベトナム人も多く、グローバルな市場にも対応することができます。

地理的な位置
ベトナムは、アジア太平洋地域に位置しており、中国や日本、韓国、東南アジアなどの大きな市場に近接しています。これらの市場での需要に応えることができ、グローバルなビジネス展開において有利な立地条件を持っています。

コスト面での優位性
ベトナムの人件費は、日本や欧米と比べて低く、コスト面での優位性があります。また、政府の支援により、IT関連企業が安価なオフィススペースやインフラを提供されることもあります。

以上のような要因が、ベトナムがITハブとして発展していく上での大きな助けとなっています。ベトナムは今後も、IT産業の発展を重要視し、グローバルな市場での競争力を高めるために積極的に取り組んでいくことが期待されています。

ベトナムはIT産業の成長性の高さから、将来、シリコンバレーやバンガロール、シンガポールなどが挙げられるITハブになると言われています。(ITハブ:IT産業が集積し、活発な交流や競争が行われる地域)

■ベトナムのIT人材について

ベトナムは急速に成長するIT産業を支えるため、あらゆる角度から優秀なIT人材を輩出する為の政策をおこなっております。

教育システム
まずベトナムはSTEM教育という科学、技術、工学、数学に力を入れた教育を進めていて、中学校からコーディングやIT科目を学びます。更に高等教育機関を多く抱えており、情報技術・コンピュータサイエンス・電子工学などのITに関する専攻に注力しています。また日本は2020年より小学校での英語必修化となりましたが、ベトナムでは2011年より小学校における英語学習を始めています。これは、グローバルなIT産業において重要なスキルとなっています。

環境
ベトナム人の国民性は、フレンドリー・真面目・家族思いなどが挙げられます。多様な文化的背景を持つ人々が暮らしていることにより、自然とコミュニケーション能力が育まれるため、企業との取引においても有利な立場にあります。またベトナム人は向上心が高く、勉強熱心な方が多いです。社会人になってからも自身のスキルアップの為、語学や専門知識を習得するための勉強をする方が多い傾向にあります。

コストパフォーマンス
ベトナム人全体の平均月収が約3万円、IT人材の平均給与は月10万円以上と国内では優遇されているものの、低賃金の魅力により多くのグローバル企業がベトナムのIT人材を採用しています。

以上のようにこれらの国策と向上心が高い国民性があるが故に、ハイレベルなIT人材が輩出されております。今後も、ベトナムは世界的なIT人材の供給地として注目されることが推察されます。

■ベトナムのIT業界のトレンド

ベトナムのIT産業は急速に発展しており、様々な分野で注目を集めています。以下では、特に注目されているIT分野について説明します。

ソフトウェア開発
ベトナムのIT産業において、ソフトウェア開発は最も成長している分野の1つです。ベトナムは、プログラミングやソフトウェア開発の教育に力を入れており、多くの優秀なエンジニアを輩出しています。そういった背景に加え、人件費が比較的安いことから、ベトナムにオフショア開発拠点を設置している外国企業も多いです。しかし昨今ベトナム人エンジニアの、特に一定以上の経験を持つ中堅からシニアのエンジニアについては、給与水準が上昇してきている傾向にあります。

クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングは、ベトナムのIT産業において急速に発展しています。ベトナムには、多くのクラウドサービスプロバイダーがあり、多くの企業がクラウドサービスを活用しています。また、ベトナム政府も、国内でのクラウドサービスの活用を推進しています。 しかし国内のシェアとしては外資系企業が8割程度占めている状況です。

フィンテック
フィンテックは、ベトナムのIT産業において注目されている分野の1つです。ベトナムでは、特にデジタル決済が最も人気のある分野であり、モバイル決済アプリは広く普及しています。多くのフィンテックスタートアップが登場しており、決済や融資などの金融サービスを提供しています。

eコマース
eコマースは、ベトナムのIT産業において急成長している分野の1つです。ベトナムは、人口が約1億人いる大市場であり、インターネット利用者数が急速に増加しています。多くのeコマースプラットフォームが登場し、オンラインショッピング市場が急成長しています。

ゲーム開発
ベトナムのIT産業において、ゲーム開発も急成長しています。ベトナムは、若年層が多く、ゲームのプレイ人口も開発者の数も急激に増加しており、成長著しい市場となっています。 ゲームアプリの開発会社が急増しており、昨今ではグローバルな市場での販売も目指す企業も現れてきています。

AI(人工知能)
人工知能は、ベトナムのIT産業において急速に発展している分野の1つです。AI技術を活用したサービスの提供に取り組むスタートアップ企業も増加しており、ベトナム政府もAIの研究開発を支援しています。また、ベトナムの大学や研究所でもAIの研究が進んでおり、優秀なAIエンジニアが育成されています。

ブロックチェーン
ブロックチェーンは、ベトナムのIT産業において注目されている分野の1つです。ベトナムは、金融や不動産などの分野でブロックチェーンの活用が進んでおり、多くの企業がブロックチェーン技術の研究開発に取り組んでいます。 また、海外からの送金割合が比較的多く、送金手数料を抑えられるという理由もあることから、仮想通貨の普及率が高いといわれています。

以上のように、ベトナムのIT産業は、最新技術の導入に積極的であり、また国が主導で推進を進めており、今後急速に成長していくことが見込まれます。

■ベトナム政府の政策について

ベトナム政府のIT分野にかける思いは強く、IT産業を国の成長エンジンと位置付け、積極的に推進する政策を展開しています。政府が後押しするのは国内企業の支援だけではなく、外資系企業に対しても税制面での優遇措置を取っています。
以下に、ベトナム政府がIT産業を推進するために取り組んでいる主な政策について紹介いたします。

外資系企業に対する優遇税制
ベトナムでは投資法により、新エネルギーやハイテク分野、バイオテクノロジー、IT技術、教育、医療等、投資優遇分野の規定があります。ベトナムの標準法人税率は、20%と日本やASEAN諸国と比べると比較的低くなっていますが、ソフトウェア開発事業を展開しているIT企業の場合は以下の優遇税制が適応対象となっております。(細かい定義条件あり)
売上を計上した年度から15年間にわたり法人税率10%の適用
課税所得が発生してから4年間は免税され、その後9年間は50%の減税が適用

IT人材育成支援
ベトナムでは1998年に成立した教育法にもとづき、小学3年生より英語教育およびコンピューター教育が行われ、政府主導で学校全体のデジタル化の推進および、IT機器の積極的な導入が進められており、特にSTEM科目(科学・技術・工学・数学)の強化に力が注がれ、国内外の専門家によるIT人材の育成を目的とした研修や、人材育成に関するイベントの開催などを支援しています。

これらの政策は、ベトナムのIT産業を強化するために重要な役割を果たしており、まだまだ成長過程であるIT産業の後押しとなっています。

■ベトナムのIT業界が持つ可能性とは

これまでご紹介させて頂いた通りベトナムのIT業界は、多くの成長要因を背景に大きな可能性を秘めています。

ベトナム経済の成長に伴う需要の拡大
ベトナムのGDPは近年急速に成長しており、中流階級が拡大しています。このような背景により、消費者マーケットをターゲットとしたIT関連サービスや製品への需要も増加しています。特に、クラウドサービスやビッグデータなど、企業の業務効率化につながる技術に対する需要が高まっています。

人口の大きさと若年層の比率
ベトナムは、約1億人の人口を抱えるアジア有数の大国です。その人口構成は、若年層が多くを占めており、IT人材の育成に非常に適しており、実際にIT教育に力を入れております。現在は年間約5万人のITエンジニアを社会に輩出しており、今後もIT人材の供給が増えることが期待されます。

地理的位置と文化的背景
ベトナムは、アジアの中心に位置しており、中国や東南アジア諸国など、多くの国々との物流・文化交流が活発に行われています。この地理的な立地と文化的な背景は、多様なビジネスチャンスをもたらすことができます。

政府の方針・支援
ベトナム政府としても2020年5月にデジタル経済の開発について本格的に着手することを発表しており、GDPに対するデジタル経済の比率を2025年までに約20%、2030年までに約30%にすること、2025年までにインダストリー4.0の技術導入に対応する人材需要に90%以上応えるようにすること、2025年までにグローバルイノベーション指数(GCI)においてASEANでトップ3となること等の明確な目標が定められています。
また、ベトナム政府は、IT産業の発展に積極的に取り組んでおり、政府が主催するイベントや、IT人材の育成を支援する教育制度などがあります。また、特に人工知能やビッグデータなどの分野において、政府が積極的に投資しています。

これらの要因により、ベトナムのIT業界には大きな可能性があります。

最後に、ベトナムのIT業界が持つ可能性は、技術革新と社会的発展の促進です。IT産業は、新しい技術を取り入れることで、他の産業や社会全体の発展を促進することができます。例えば、ビッグデータ解析を利用することで、医療や農業分野などでの生産性向上や効率化が可能になります。また、ブロックチェーン技術を利用することで、不正行為を減らしたり、契約や取引の透明性を高めたりすることができます。ベトナムのIT業界が技術革新を促進することで、より持続可能な社会的発展を実現することができると考えられます。

■まとめ

ベトナムがなぜIT人材大国となったのか、その背景や動向を知りベトナムのIT業界を理解することで、転職を検討される際に自身のキャリアと繋げて考える事が出来るのではないでしょうか。
私たち現地に住んでいるコンサルタントだからこそお話できる体験談やエピソード、そして具体的な求人紹介やご転職サポートを全力でさせていただきます。海外転職で不安に思っている事や気になる事等、何かありましたらいつでもお気軽にご相談ください!

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